卒業研究と標準偏差
標準偏差の有用性について、自分の経験からこの記事を読むみなさんに伝えたいと思う。結論から言うと、標準偏差は、「実験データを比較し類別化すること」に大変有効であるということだ。 私は卒業研究で、低周波音の音声への音響的影響について考察した。具体的に言うと、まず実際に実験を行って、低周波音、ノイズ毎にその周波数スペクトルが変化していることは視覚的に容易に分類できた。しかし空間毎の変化については、変化のパターンが一様でなかったので、視覚的な分類はできず、類別化の手段の決定にとても苦労した。(図5参照)
その課題を解決した方法は、周波数の区間を限定して、限定した範囲における周波数スペクトルのばらつきを比較することであった。具体的に言えば、低周波音に関しては100Hz~10000Hz,ノイズに関しては100Hz~22049Hzの区間でパワースペクトルの差分データの標準偏差を比較して類別化した。これにより、空間ごとの音響影響の差を求めることができた。(図6参照)
以上の経験から、標準偏差は複数の実験データの類別化に適していると思う。卒業研究や修士論文で比較の手段に行き詰ったときは、標準偏差について思い返してみるといいだろう。
参考文献
・河口洋行,文系のための統計学入門-データサイエンスの基礎,日本評論社,2021
・標準偏差と分散の関係や違いとは?データの単位と同じ次元はどっち?
・統計学における分散とは?不偏分散との違いも! 例題でわかりやすく解説